「結論:命に関わる装備を“先に・確実に”、便利は“最小限”で足す。
年齢に合わせて“使う練習”までセットで準備する――これが子連れ登山の正解です。」
とと家の朝の玄関劇場(装備の本質)


「パパ、山ってちょっとこわい?」

「“こわい”はね、準備で小さくできるんだ。だから今日は“装備リハーサル”してから出発!」

「よし、3分で点検いくよ。ライト、笛、地図、雨具。順番は“雨→光→道→体”ね」

「(ポフッ…ベビーキャリアに着席)」
ワンポイント講座|“準備で怖さを小さくする”のフレーム
- 雨(体を守る)→ 光(足元を守る)→ 道(現在地を守る)→ 体(体力を守る)
- この優先順位で装備チェック&ザックの上層に配置すると、現場で迷わない。
ないと危ない→あると便利→年齢別の順にそろえる
「ないと危ない」装備(全員分・親が管理)


「まず“命の4点セット”から。レイン上下/ヘッドライト/地図二刀流/ファーストエイド」

「わたしライト担当! カチッ…点いた!」

「OK、出発前に毎回点灯テスト。電池はジップ袋で“ひとかみ”で出せる位置に」
- [ ] レインウェア上下:前開きで着脱簡単/袖口と裾の調整必須
- [ ] ヘッドライト+予備電池:ロック機能・軽量・ボタン大きめ
- [ ] 地図(紙)+アプリ:紙はエスケープ明記/アプリは事前DL+音声案内
- [ ] ファーストエイド:用途別小袋(擦過傷/捻挫/虫刺され/頭痛腹痛)
- [ ] ツェルト or エマージェンシーシート:家で一回広げて練習
- [ ] ホイッスル:家族ルール「3回吹いたら動かない」を声に出して確認
- [ ] 保険証コピー(子ども分も)/トイレセット(携帯トイレ+芯抜き紙+大ジップ)
- [ ] 水と行動食:子どもは10〜15分にひと口のリズムで
ミニ講座|低体温症“5分ルール”
雨・風・汗冷えで5分ぬれたまま歩くと一気に体温が落ちます。
小雨でも先に着るが正解。濡れてからでは遅い。
「あると便利」(軽く・効くものだけ)


「便利は“家族の弱点を1つ補う分だけ”。増やしすぎると親がヘトヘト=安全ダウン」

「うちは“休憩が苦手”だから薄大レジャーシートは必携。追加水のソフトボトルもね」
- [ ] ソフトボトル:子の水筒へ素早く補給/氷多めでご褒美効果
- [ ] 薄大レジャーシート:休憩・おむつ替え・目隠し・座って体力回復
- [ ] ウェットティッシュ/消毒:食事前後・擦過傷の初期対応
- [ ] トレッキングポール:親の下り安定(ベビーキャリア時は特に効く)
- [ ] モバイルバッテリー:スマホ/GPS/ライトの電源バックアップ
- [ ] 虫除け/日焼け止め:低山は必須、こまめに塗り直し
- [ ] 小型ミラー(ベビーキャリア):背中の表情を歩きながら確認
- [ ] トランシーバー・虫眼鏡:歩く動機づけ=安全(不機嫌を溜めない)
NGあるある:「心配だから全部」→親の余裕が消える。
“不機嫌トリガーを1つ消す”という発想で厳選。
年齢別:子どもに“持たせる&練習させる”


「“持たせる=自信のタネ”。ただし“使い方の練習”までがセットだよ」
- [ ] ベビーキャリア+レインカバー
- [ ] 手鏡(親確認用)/お気に入り

「鏡で表情チェック。眠い? 寒い? 早めに止まってケア」
- [ ] 軽量ミニリュック(おやつ・透明袋・宝物入れ)
- [ ] 透明ビニール袋(採集=歩行モチベ)

「どんぐりバッグ満タン作戦、きょうもやる!」
- [ ] ホイッスル(家で“3回→止まる”の練習)
- [ ] 自分のヘッドライト(点灯→切替→点滅の3動作ドリル)
- [ ] 薄手防寒具(“自分で出す→着る→しまう”を家で練習)
- [ ] 現在地あてゲーム(紙地図に円を描いて推定→答え合わせ)
- [ ] 水とおやつのマネジメント(残量と行程の対応づけ)
現場シミュレーション3本勝負

① にわか雨(稜線で風が出た)

「あ、ポツポツきた…」

「みんな木の陰に入って先にレイン着よう」

「裾絞ってね。ザックはレインカバーつけてね。
汗かいちゃうからゆっくり歩いていこうね」
即対応のカギ
- 先に上(体幹と肩)→風で奪われる熱を止める
- 立ち止まり過ぎず、ゆっくり歩いて体温維持
- 濡れたら5分以内に処置(“5分ルール”)
② ぐずり&エネルギー切れ(樹林で暗く狭い)

「もう歩けない〜」

「作戦“3F”いくよ:Flat(平ら)→Film(シート)→Food(ひと口)」

「ラムネ1粒→水ひと口→目の前クイズ“この葉っぱの名前? 光る石は?”」
即対応のカギ
- 座らせて体幹を休める→低血糖を止める→脳が前向きに
- 会話で注意の矛先を切り替える(泣きに向かない)
③ 予定より下山が遅れた(薄暗い植林帯)

「くらくなってきたなぁ。よし!ライト、オン。」

「ピッ。まっすぐ道を見る、段差で“段!”って言うね」

「ナイス。“段!”“石!”って声に出すと転倒率が下がるよ」
即対応のカギ
- 光は足〜数歩先、遠くを見過ぎない
- 声出しナビでチームの視線を共有
- 焦り=最大の敵。歩幅を半分に
家の床でできる“装備レクチャー”3本

レクチャーA:ライト3動作ドリル(5分)
1)点灯→2)明るさ切替→3)点滅→ロック。

「目つぶししない角度、覚えた!」
レクチャーB:ホイッスル“3回→止まる”(5分)
庭やリビングで遊び化。「3回鳴らしたら“ストーンゲーム”」

「止まれたらハイタッチ!」
レクチャーC:地図あてゲーム(10分)
紙地図に現在地の丸を描いて理由を説明。

「“橋がある”“等高線が詰む”“曲がり角”の手がかりを言葉に」
効果:山で初めて使う道具をゼロに。“できた”の記憶が怖さを小さくする。
分担と並べ方で“忘れ物ゼロ”にする


「全部、床に並べる→“ないと危ない”からザックに入れる→“便利”は家族の弱点ぶんだけ」

「分担表をスマホで撮影して共有。下山後は紫マーカーで使った装備に丸」

「使わなかったら青丸! 次回は置いていけるかもね」
チェック表(春の低山・日帰り)
区分 | アイテム | 担当 | ✔ |
---|---|---|---|
雨 | レイン上下(全員) | かか | □ |
光 | ヘッドライト+予備電池 | みっこ/とと | □ |
道 | 紙地図/アプリDL/モバイルバッテリー | とと | □ |
体 | ファーストエイド/行動食/水 | 全員 | □ |
休 | 薄大レジャーシート/ウェット | かか | □ |
連 | ホイッスル/連絡カード | みっこ | □ |
予 | ツェルト or エマージェンシー | とと | □ |
合言葉:「雨→光→道→体」。この順で用意し、この順でザックの上から入れる。
まとめ(家族の会話で締める)
みっこ「準備できたら、山はちょっとだけ“こわい”が“たのしい”に変わるんだね」
とと「そう。装備=安心の形。安心があると景色も会話も増える」
かか「次は“軽さの魔法”やろう。便利は1つだけ増やす、それが我が家ルール」
なっちゃん「(パチパチ)」
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あとがき(とと)
装備は“保険”じゃなく“余裕”。
余裕があると、迷わず・焦らず・笑える。
次回は「子連れでもできる軽量化:500g削って安全アップ」を予定!
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